記者の眼記者の眼

第280回 (2025年1月22日)

 

 南スーダンでは17日、ダーブレンド原油の生産に適用されていた不可抗力条項(フォースマジュール)が解除された。同国で主力のダーブレンド原油は昨年3月、国内武装勢力による油送用パイプラインの破壊に伴い、管理企業のダール・ペトロリウム・オペレーティング・カンパニー(DPOC)がフォースマジュールを宣言し原油の生産を停止していたが、その後、設備の修復が進んだようだ。原油取引の契約には通常、戦争や天変地異など制御不可能な要因により契約義務を履行できない場合、当事者がフォースマジュールを宣言してその義務を免除できる条項が付記されている。

 

 不可抗力条項と言えば私は昨年末、流行り風邪に罹ったことで5日間、床に臥さざるを得なくなった。ワクチン接種やマスク着用、手洗いうがいの徹底など注意を払っていたが、12月末にかけて流行が爆発的に拡大したこともあり罹患を防げなかった。幸いにも年末年始は取り組むべき「公の仕事」はなかったが、家事や親戚の集まりなど私的な「責務」が予定されていた。私は熱せん妄の影響で意識が混乱するなか、これらの事案にフォースマジュールを宣言できるのではないかと、ふと思った。私的な責務遂行には勿論、契約による取り決めは無く、宣言内容が不明確なこともあり、結局は宣言を見送ったが。その後、宣言について身内に示唆してみたが「意味が解らない。単に自己管理が出来ていないだけ」と一蹴されてしまった。情けない限りである。

  

 

(柳)

 

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