出光興産=千葉事業所にSAF製造装置を新設、26年度から供給へ
出光興産は千葉事業所(日量19万バレル)にエタノールを原料とするSAF製造装置を建設し、2026年度から供給を開始する方針を固めた。新設工事は2025年度を予定している。原料のバイオエタノールを国内外から調達し、世界初の10万kl級アルコール産ジェット燃料製造機(ATJ=Alcohol To Jet)の開発に取り組む。
国内外の航空業界は2030年にジェット燃料の10%をSAFへ置き換える方針を打ち出しており、官民合わせて技術開発や供給体制の整備を進めている。出光は2030年に年間50万klの国内生産体制を構築を目指し、千葉事業所の1号機のほか、2号機以降の新設も検討を進める。エタノール原料のバイオ化学品事業への展開も視野に入れているという。
SAFとは「Sustainable Aviation Fuel」の略で、一般的に「持続可能な航空燃料」と訳され、バイオマス由来原料や飲食店、あるいは一般生活で排出される廃棄物、廃食油などが主な原料。原材料の生産および収集から燃焼までの過程でCO2の排出量抑制が期待できる。元売りではENEOSやコスモエネルギーHDもSAFの技術開発や供給体制の構築に注力している。
今回の事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業、CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」の1つとして採択されたもので、期間は2022年度から2026年度の5年間。事業予算は457億円。
2020年に国は2兆円の予算を確保し、2050年のカーボンニュートラル目標に向け、次世代エネルギーの技術開発などの支援を発表。経済産業省中心に資金の配分や支援技術の選別などを進めてきた。プロジェクト単位として、「野心的な2030年目標」を掲げる取組みを重視している。