電力=3月10~14日:電力スポットは前週比で急反落、春の陽気で需給に緩み
3月10~14日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに前週から急反落。全国的に春の陽気となり、前週から暖房需要が大きく減少したため需給緩和感が強まり、電力スポットの下押し圧力も強まった。13~14日には、関東以西で最高気温が20度を超えるなど初夏の陽気となった地域もあった。13日の東京の最大電力は3,387万kWにとどまり、平日としては昨年11月中旬以来の低い水準となった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、10日が0.13円、11日が0.73円、12日が0.71円、13日が1.77円、14日が0.56円の大幅な西高東低となった。
3月第2週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、3月第1週から反発した。3月13日時点で期近の25年4月着品がmmBtuあたり13ドル台菜半ばとなり、前週末時点(3月7日)から1ドル超の上昇となった。欧州の天然ガス相場が上昇したことを映し、北東アジア市場のLNG相場もつれ高となった。また、前週までの相場下落で割安感が強まったことや、在庫を拡充する動きもみられるなど、北東アジア市場では買いの動きも散見され、相場の強材料となった。経済産業省が3月12日に公表した、3月9日時点の発電用LNGの在庫は179万トンとなり、前週から19万トン減少した。前年3月末時点の148万トンを上回ったが、過去5年平均の203万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、3月13日時点の25年3月積みがトンあたり101ドル台半ばとなった。前週末時点から2ドル弱の下落。前週は割安感から買いの動きが強まり、相場も上昇する動きが強まったが、第2週はその反動で下押す動きとなった。 原油相場は、3月14日午前時点でWTIの25年4月物がバレルあたり66ドル台後半、ブレントの25年5月物が70ドル台前半の水準。前週末時点から、WTIが0.5ドル程度の上昇、ブレントが前週並みとなった。週初めは、米国の景気後退懸念や株安が弱材料となり、相場も軟化する動きとなったが、その後は値ごろ感からの買いに支えられた。
週を通じた実勢高値は、10日に西日本6エリアで付けた20.67円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、13日に北海道と東北で、14日に北海道を除く8エリアとシステムプライスでそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で3.47円安の11.49円、東北が同4.16円安の10.85円、東京が同3.85円安の11.30円、中部が同7.11円安の12.11円、北陸と関西が同7.22円安の12.08円、中国が同7.27円安の11.86円、四国が同4.65円安の11.48円、九州が同4.31円安の10.74円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から19.0%増の13億7,708万1,010kWh、買い札が同10.2%減の9億6,405万4,970kWhとなった。約定量の週間平均は、同0.3%減の8億886万2,910kWhだった。
3月10~14日の9エリアの電力需要は、119億2,208万8,000kWhとなり、前週3月3~7日の134億6,163万6,000kWhから11.4%減少した。曜日を合わせた前年の3月11~15日の需要実績は126億6,675万1,000kWhで、減少率は5.9%となった。
3月10~14日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。13日の立会外取引では、東ベースの25年度年間(4~3月)で各月810枚の計9,720枚と記録的な取引高となった。
3月10~14日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。340件・3,278MWの約定があった。
3月第3週の電力スポットは、第2週の価格から底上げの動きとなりそう。寒の戻りが予想されており、暖房需要が増えるとみられ、価格にも波及するとみられる。また、週前半は曇天の地域が多い見通しで、太陽光発電が限定的になることも強材料になるとみられる。ただ、週後半に向けて天気は回復する予報となっているほか、気温も再び上昇傾向になるため、価格は右肩下がりとなりそう。一部の市場関係者からは、「東西ともに週前半はベースで10円を上回るとみているが、気象動向に連動し週後半に向けて10円を割り込む動きになるだろう」(新電力の市場取引担当者)との見通しが示されている。ただ、定期点検などで停止する火力発電は増えるため、発電設備のトラブルなどが発生した場合、思わぬ高値を付ける可能性はあるとみられる。
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