アジア石油製品=2月10~14日:ジェット市況下落、日本勢の買い気後退で
ガソリン 韓国積みSR船型市況下落、日本勢が輸入に消極的 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は週間を通じて横ばい。メキシコから買いが浮上した。メキシコ国営石油会社(ぺメックス)がこのところ、シンガポール市場でカーゴを物色していたという。背景には、米国とメキシコ間での関税などをめぐる貿易摩擦が挙げられている。ただ、シンガポール市場では在庫が依然として高止まりしており、相場は上伸力を削いでいる。 韓国積み91RONガソリン(SR船型)の市況連動相場は下落した。主要な仕向け先である日本から買い気が弱い。日本では3月に決算期を迎える商社が多く、在庫を抑えるケースが多い。このため輸入品の買いに消極的だ。元売りも輸出ポジションで、国内の供給に引き締まり感も見られない。
ナフサ OSN市況堅調、ガソリン基材の需要増を意識 3月後半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は堅調。需給引き締まりの観測を受けた。ガソリン基材としての需要増が意識され始めている。また、中国で万華化学(Wanhua Chemical)やエクソンモービルが3~4月にも新規ナフサクラッカーの運転を始めると目されている。供給面では、アジアや米国で複数製油所が定期修理を開始、または予定している。 韓国の石化1社は12日、入札を通じて3月後半着オープンスペックをCFRベースで日本市況に対し、5.50ドルのプレミアムで調達した。30日前評価。 装置関連で韓国のYNCCは10日、第2ナフサクラッカー(エチレン年産91万5,000トン)の定期修理を開始した。4月4日まで。
中間留分 高硫黄軽油市況は軟調、韓国勢が販促も東南アジアの需要弱く 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は下落した。買い気の弱さを受けた。韓国1社は入札で、3月7~9日積みMR船1カーゴをFOBベースでシンガポール市況に対し、40セントのディスカウントで販売した。買い手は米国に運び込む予定。これまで輸入ポジションを取っていた日本勢が、3月積みのジェット燃料や灯油に対する買い気を落としている。国内で灯油の在庫に不足感がないことが一因とみられ、市場関係者は「日本向けのジェット燃料の需要が減退したため、北東アジアの売り手は代替として高硫黄軽油の輸出を増やしている」と述べた。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は小幅に上昇した。韓国、中国、日本積みの売買が本格化しておらず、台湾積み品への買い気が強い。欧州では需給が引き締まっている。シンガポールから欧州向けのアービトラージについては開いているとの指摘もあり、相場下支えとなったもよう。しかし、週末にかけて市況は下落。韓国では国内需要が振るわず、3月積みの売りが続々と出ている。 北東アジア積み0.05%S軽油(MR船型)の市況連動相場は切り下がった。高硫黄軽油の供給が潤沢な一方で、東南アジアの需要が弱く、需給が緩んでいる。韓国1社は入札で、3月25~29日積みのMR船型1カーゴを販売した。価格はFOBベースでシンガポール市況(0.001%S)対比2.30ドルのディスカウントだった。韓国内の軽油需要不振や灯油の需要低下を背景に、韓国石油会社は高硫黄軽油の販売を増強している。 一方で東南アジアの主要な買い手であるベトナムやインドネシア勢の買いが減少。ベトナム1社は内需の不振を背景に、急遽、期近積み品の販売に乗り出した。
重油 3.5%S市況上昇、アジア市場で品薄感 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。韓国積み品の新たな商談は聞かれなかった。台湾ではフォルモサ石油化学(FPCC)が13日、3月上旬積みMR船型カーゴの0.5%Sストレートラン重油の販売入札を締め切った。同社は3~4月にかけて麦寮製油所で残渣油接触流動装置(RFCC)の定修を予定しているため、余剰が見込まれる重油の販売に動いたとみられている。 中国政府が石油製品の輸出税に対する還付率を引き下げたことについて、引き続き一部の市場関係者は影響を見極めている。山東省の独立系製油所は基材として重油を輸入するケースが多いため、還付金の縮小は収益の圧迫につながるためだ。 韓国積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場は押し上げられた。供給引き締まりを受けた。米国によるロシア産原油や石油製品を積載したタンカーへの制裁が続いており、シンガポールを中心としたアジア市場でも供給が細っている。舶用や発電用需要は強くないものの、「市場のタイト感はしばらく続きそうだ」(北東アジアの石油会社)。
マーケットニュース 韓国政府は6日、ガソリンや軽油などに課す油類税の引き下げ措置を4月末まで延期すると決定した。当初の期限は2月末までだったが、原油価格の高止まりや国内の物価高対策を考慮した。ガソリンは15%、軽油とLPGは23%の減税率が維持される。韓国政府は2021年11月より引き下げ措置を行っており、延期は14回目。 減税措置延期が決まったことで、当面の国内価格上昇とその前の仮需要増加の可能性が低下。需給の不透明感が解消されたため、韓国石油会社は間もなく3月積みの輸出を本格化させる方針だ。
|
|