電力=1月20~24日:電力スポットは前週比で続落、高めの気温で需給に緩み
1月20~24日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに前週比で続落した。全国的に高めの気温で推移し、需給の緩みが顕著となったため、価格も下押す動きが強まった。とくに西日本では、九州や四国などの最高気温が15度を上回る日もあったほか、天気に恵まれる日も多かったため、東日本に比べ価格の下げ幅も大きくなった。また、関東でも東京都心部の最高気温は、大寒だった20日から5日連続で13度超となり、大寒の時期に13度以上となった連続日数で過去最長となった。こうした気象動向を映し、売り入札量は21日以降、連日で13億kWhを超える量が投入され、価格の上値を抑える要因となった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、20日が4.59円、21日が2.79円、22日が3.14円、23日が3.14円、24日が3.44円の東高西低となった。
1月第4週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、1月23日時点で期近の25年3月着品がmmBtuあたり14ドル台前半で推移した。前週末時点(1月17日)から0.8ドル程度の上昇となった。欧州の天然ガス相場が強基調で推移したため、北東アジア市場のLNG相場もつれ高となった。ただ、北東アジア市場では売り物が増えるなど需給緩和感は解消されず、相場の上値は抑えられた。経済産業省が1月22日に公表した、1月19日時点の発電用LNGの在庫は232万トンとなり、前週から21万トン増えた。前年1月末時点の215万トン、過去5年平均の196万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、1月23日時点の25年1月積みがトンあたり116ドル台半ばとなった。前週末時点から0.7ドル超の下落。 原油相場は、1月24日午前時点でWTIの25年3月物がバレルあたり74ドル台前半、ブレントの25年3月物が77ドル台後半の水準。前週末時点から、WTIおよびブレントともにそれぞれ3ドル程度の下落となった。米国では20日、トランプ大統領が就任した。トランプ大統領は就任初日の20日に、エネルギーにかんする国家非常事態を宣言。国内のエネルギー価格を引き下げるため、米国産原油の生産を拡大する方針を示した。さらに、同大統領は23日、スイスで開催中の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)にオンラインで出席し、サウジアラビアや石油輸出国機構(OPEC)に対して、原油価格の引き下げを要求する意向を示した。トランプ大統領の政策などが弱材料となり、原油先物は売りが先行した。
週を通じた実勢高値は、20日に北海道で付けた18.57円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、20日に四国で、21日に九州で、22~23日に北陸、関西、中国、四国、九州の5エリアでそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で1.25円安の13.96円、東北が同1.52円安の13.33円、東京が同1.41円安の13.46円、中部が同1.82円安の12.97円、北陸が同3.86円安の10.05円、関西が同3.73円安の10.04円、中国が同3.72円安の10.04円、四国が同0.60円安の8.59円、九州が同3.05円安の9.92円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から5.0%増の13億2,043万4,950kWh、買い札が同8.0%減の9億5,815万6,550kWhとなった。約定量の週間平均は、同3.7%減の8億708万5,530kWhだった。
1月20~24日の9エリアの電力需要は、132億6,068万4,000kWhとなり、前週1月13~17日の141億3,251万5,000kWhから6.2%減少した。曜日を合わせた前年の1月22~26日の需要実績は142億8,574万7,000kWhで、減少率は7.2%となった。
1月20~24日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
1月20~24日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。356件・2,507MWの約定があった。
1月最終週の電力スポットも上値の重い展開が続く見通し。引き続き、全国的に高めの気温で推移する予報で、暖房需要は低調になるとみられる。一方、天気は週初めに崩れる見通しだが、週半ば以降は広い地域で晴れ間が予想されている。このため、週後半に向けて太陽光発電が増えるとみられ、昼間価格を圧迫する材料になるとみられる。一部の市場関係者からは、「(1月最終週のベース価格は)東日本が12~14円台、西日本が10~12円台程度で推移するとみている」(新電力の市場取引担当者)との見方が示された。
|