アジア石油製品=1月13~17日:対ロ制裁でフレート上昇、FOBベースの取引の重石に
ガソリン フレート高と買い気の弱さが重石に 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は変わらず。ただし、フレートの急騰でFOBベースの相場に下押し圧力が強まっている。米国がロシア産原油や石油製品を積載したタンカーに対し制裁を科していることから、フレートが急騰している。加えて、需要が振るわない。トレーダー筋は手持ち玉の消化が遅れ、新たなカーゴの買いを抑えている。シンガポールでは在庫が高止まりしている。 中国では、主要な輸出元である中国石油天然気(ペトロチャイナ)が今週にも2月積みの輸出計画を決めそうだが、同国全体の輸出量は引き続き少ない見通しだ。1月下旬に旧正月連休を控えていることから内需が増えそうだ。そのうえ、2月は日数が少ないことや、国内価格が急騰しており、石油会社は国内供給に注力しそうだ。
ナフサ 域内の販売数量潤沢 3月前半着の商談へ移行した。域内で販売可能なカーゴの数量が潤沢で、アーブ品の数量は減少しているものの、市況に与える影響は今のところ大きくないと指摘された。日本の1社は15日締めの入札で、3月前半着オープンスペック2万5,000トンを購入した。価格はCFRベースで同市況に対し、4ドル前後のプレミアムだったようだ。30日前と45日前評価を40%対60%で組み合わせたという。 ヘビー・ナフサの需要も低調。基材となるガソリンの市況が軟調なうえ、石化製品の市況も足元で振るわない。市場関係者によると、北東アジアの石油1社がこのところ、ヘビーの売りを試みていたという。リフォーマーの稼働低下により自社で精製した玉が余剰となったことが背景と伝えられた。 米国の対ロシア制裁の強化を受け、ナフサの供給減やフレートの一段の上昇が予測される。
中間留分 ジェット燃料、軽油とも軟化 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は強さを欠く。これまで堅調だった米国向けの引き合いが急速に減退した。市場関係者は「米国中西部で寒波と火災の影響により多数のフライトが取りやめになったことで、米国のジェット需要が減少した」と指摘。日本勢の買いも一巡した。供給面では中国からのジェット燃料の販売が多そうだ。中国石油天然気(ペトロチャイナ)の2月の販売量が70万トンにのぼるとの観測がある。 韓国積み灯油(SR船型)の市況連動相場はもち合った。トレーダー筋によると、韓国で気温の低下を受け国内需要が旺盛となっており、韓国の石油会社のなかには、当初SR船型で輸出する予定だった在庫を国内販売に仕向ける動きがあるという。こうした状況とあり、輸出余力はそれほど多くないと見込まれる。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟化。シンガポール先物市場ではバックワーデーションが拡大しており、期先安が意識されている。これを背景に2月下旬積みの成約可能な水準が切り下がった。ただ、需給は他の油種と比較して引き締まっている。寒波による暖房用需要増加で欧州向けの引き合いが堅調。インドや中東品が同域内に向けられており、アジア市場への流入量が限られている。また、中国勢もジェット燃料の輸出に注力し軽油の輸出を抑える見通しとあって、供給が限定的となっている。
重油 3.5%S重油市況上昇、供給減少懸念で 韓国積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場は小幅高。米国の制裁でロシア産高硫黄重油の供給がアジア域内で細るとの見方が強材料となっている。既報のとおり、中国やインドでロシア産の代替となる重油の調達が進むとの観測が強まっており、北東アジア品も今後、品薄感が強まるとみる関係者も見受けられた。
フレート 中東とシンガポール間のLR船型クリーン船、ダーティ船のフレートは上昇。ロシア産原油や石油製品を積載したタンカーに対し、米国政府が制裁を科したことで、複数のタンカーが中国などに入港できず、船腹に不足感が台頭している。市場では、石油製品の取引について様子見に終始するプレーヤーも散見される。
マーケットニュース 中国国内でガソリンやナフサ、軽油価格が前週と比べて大きく上昇した。米国がロシア産原油を積載したタンカーに対し制裁を科すことを決定したことを受け、中国山東省の港にこうしたタンカーの入港ができなくなったためだ。規制が長期化した場合、一部の石油会社は、原料不足から製油所の稼働を抑制するとの見方も聞かれた。「少なくとも旧正月休みが明ける2月初めまで様子をみたい」(中国の石油関係者)との声も聞かれた。
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