電力=10月28日~11月1日:電力スポットは軟化、暑さ緩和で西の下げ幅が拡大
10月28日~11月1日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに軟化した。とくに西日本の下げ幅が大きくなり、暑さが緩んだことで買い気が後退したことが影響した。なお、気温が低下傾向となったことで、価格に対する太陽光発電の影響度が強まっており、太陽光の増減で日中価格の変動も大きくなっている。 東北電力は、女川原子力発電所2号機(定格出力82万5,000kW、BWR型、宮城県女川町)の原子炉を29日19時に起動した。東日本では、2011年の東日本大震災以降、原子力発電が稼働するのは初めてであり、BWR型の原発稼働も震災以降、全国で初めてとなる。発電再開は11月上旬の予定。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、28日が7.58円、29日が7.22円、30日が5.61円、31日が2.51円、1日が3.13円の東高西低となった。
燃料相場は、前週末からLNG、石炭、原油のいずれも軟化した。 北東アジア市場のLNGスポットは、10月31日時点で期近の24年12月着品がmmBtuあたり13ドル台半ばとなり、前週末時点(10月25日)から0.3ドル程度の下落となった。欧州の天然ガス相場の変動に連動したほか、引き続き北東アジア市場の買い気が鈍いことも弱材料となった。経済産業省が30日に公表した、10月27日時点の発電用LNGの在庫は207万トンとなり、前週から10万トン減少した。前年10月末時点の219万トンを下回ったが、過去5年平均の202万トンを上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、31日時点で24年11月積みがトンあたり144ドル超の水準となり、前週末から1ドル弱の下落となった。ガス価格の下落に連動した。 原油相場は、11月1日午後の時点でWTIの24年12月物がバレルあたり70ドル台半ば、ブレントの24年12月物が73ドル台前半で推移した。前週末から、WTIが1ドル程度、ブレントが3ドル弱のそれぞれ下落となった。週前半は、中東の地政学リスクに対する警戒が緩んだことが弱材料となり、相場は急落した。ただ、週半ば以降は、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」が12月に開始予定の増産を1カ月以上、先送りにする可能性があるとの報道があったことや、米原油在庫が市場予想に反して減少したことなどが強材料となり、相場は前週比での下げ幅を縮小した。
週を通じた実勢高値は、29日に東日本で付けた21.08円となった。一方、実勢安値は30日に西日本で付けた2.01円だった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比0.49円高の14.12円、東北が同0.91円安の14.31円、東京が同0.98円安の15.27円、中部が同1.22円安の11.61円、北陸、関西、中国が同1.92円安の10.06円、四国が同1.87円安の10.02円、九州が同1.28円安の9.96円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比3.5%増の9億9,111万1,800kWh、買い札が同4.9%減の8億7,071万7,030kWhとなった。約定量の週間平均は、同0.2%増の6億6,497万6,680kWhだった。
10月28日~11月1日の9エリアの電力需要は、104億2,171万2,000kWhとなり、前週10月21~25日の106億864万9,000kWhから1.8%減少した。なお、曜日を合わせた前年の10月30日~11月3日の需要実績は102億9,379万kWhで、増加率は1.2%となった。
10月28日~11月1日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
10月28日~11月2日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。402件の約定があり、取引ロットは2,602MW、取引数量は27億4,368万kWhだった。
11月4日の週の電力スポットは、10月最終週に比べ昼間主導で下落する動きとなりそう。週を通じて潤沢な太陽光発電が見込まれ、日中時間帯の価格を圧迫する材料になるとみられる。ただ、週初めは気温が高めの見通しで、西日本では25度前後の夏日となる地域が多くなる予報のため、冷房需要が入るタイミングもありそうだ。ただ、週半ば以降は秋らしい気温が予想され、冷暖房ともに不要の天候になるとみられるため、価格も右肩下がりになるとみられる。ただ、引き続き停止中の火力発電は多いため、発電設備のトラブルなどが発生した場合、価格上昇のリスクはある。
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