電力=9月23~27日:暑さ緩和で東西ともに軟化、中部で100円など独歩高に
9月23~27日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに軟化した。前週に比べて、全国的に暑さが緩んだことで潤沢な売りが投入され、価格も下押し傾向が強まった。 一方、中部エリアでは祝日だった23日の17~18時に100.00円を付けたほか、その前後でも80円台が並んだ。複数の市場関係者からは「誤入札ではないか」との声が聞かれたものの、一部では「売り入札の不足に伴う価格スパイクが生じたのではないか」(新電力の需給担当者)との見方もあった。同日の24時間平均は東京が11.14円、関西が8.96円だったが、中部は19.37円に達した。また、27日も中部の14~17時に30円台や40円台が並んだ。同時間帯の東日本3エリアは15~16円台、北陸~四国の5エリアは19円台中心、九州は6円~18円台で推移したため、中部が独歩高となった。こうした中部の値動きに不透明感が強まっているものの、一部では「中部エリアは他のエリアに比べて高圧や特別高圧の需要が多いなか、暑さがなかなか緩まず、定検入りの火力発電が増えていることやFCの作業などもあり、複合的な要因が価格に影響したのだろう」(新電力の市場取引担当者)との声が聞かれた。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、23日が2.18円、24日が2.08円、25日が0.97円、26日が1.49円、27日が1.23円の東高西低だった。
燃料相場は、前週末からLNGと石炭が上昇し、原油が下落した。 北東アジア市場のLNGスポットは、26日時点で期近の24年11月着品がmmBtuあたり13ドル台前半となり、前週末時点(20日)から0.35ドル程度の上昇となった。欧州の天然ガス相場が強基調で推移したほか、北東アジア市場では韓国や台湾、日本の需要家などに一定の買い気が見られたことも、強材料となった。経済産業省が25日に公表した、22日時点の発電用LNGの在庫は164万トンとなり、前週から23万トン減少した。前年9月末時点の164万トンと同水準となり、過去5年平均の199万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、26日時点で24年10月積みがトンあたり143ドル台半ばとなった。前週末から4.5ドル程度の上昇となり、ガス価格の上昇につれ高となった。 原油相場は、27日午後の時点でWTIの24年11月物がバレルあたり67ドル台半ば、ブレントの24年11月物が70ドル台後半で推移した。前週末からWTIが3.5ドル程度、ブレントが4ドル程度の下落となった。欧米経済の不透明感の強まりやリビア産原油の供給不安が後退したほか、週後半にはサウジアラビアによる増産観測が強まり、原油先物は急落した。サウジアラビアがバレルあたり100ドルの独自の価格目標を断念し、12月からの増産を準備しているという。
週を通じた実勢高値は、23日に中部で付けた100.00円となった。一方、実勢安値は24日に西日本6エリアで付けた0.01円だった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比4.89円安の11.42円、東北が同6.36円安の11.69円、東京が同6.74円安の12.33円、中部が同4.45円安の14.13円、北陸が7.08円安の10.74円、関西と中国が同5.04円安の10.74円、四国が同4.95円安の10.74円、九州が同4.68円安の10.11円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比15.3%増の12億833万230kWh、買い札が同13.9%減の9億4,002万150kWhとなった。約定量の週間平均は、同7.3%減の7億3,812万3,730kWhだった。
9月23~27日の9エリアの電力需要は、113億6,455万6,000kWhとなり、前週9月16~20日の139億2,143万3,000kWhから18.4%減少した。なお、曜日を合わせた前年の9月25~29日の需要実績は120億4,482万8,000kWhで、減少率は5.6%となった。
9月23~27日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
9月23~27日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
10月第1週の電力スポットは、底堅い値動きとなりそう。最高気温は、西日本で引き続き30度前後の日が多い予報となっているほか、関東も週初めは30度近い陽気となる見込み。また、10月1日以降から定期点検などで停止する火力発電や揚水発電が一気に増えるため、予備力は低下し、電力スポットの強材料になるとみられる。10月も高めの気温が見込まれているため、不需要期に入るなかでも価格の下げ余地は限定的となりそうだ。
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