電力=9月9~13日:東西ともに前週比で反発、猛暑で需給逼迫の地域も
9月9~13日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに反発。週を通じて東西の広い地域で厳しい残暑となったため、東京エリアや関西エリアなどで需給逼迫を招き、電力スポットも底上げの動きとなった。 週半ば以降には、東京エリアや関西エリアなどの夕方時間帯で、予備率が安定供給の目安である3%を割り込む可能性が高まり、他エリアからの融通が実施された。こうした需給状況を受け、東京エリアのインバランス料金は夕方時間帯で100円を超える日もあったほか、時間前市場でも50円超に達する日も見られた。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、9日が0.12円、11日が1.14円、12日が0.31円、13日が0.16円の東高西低となり、10日が1.62円の西高東低だった。
燃料相場は、前週末からLNGと石炭が下落、原油が小動きだった。 北東アジア市場のLNGスポットは、12日時点で期近の24年9月着品がmmBtuあたり13ドルとなり、前週末時点(6日)から0.35ドル前後の下落となった。欧州の天然ガス相場が軟化傾向となったほか、北東アジア市場では需給の緩みが一段と鮮明になり、相場も下押す動きとなった。経済産業省が11日に公表した、8日時点の発電用LNGの在庫は209万トンとなり、前週から26万トン上積みされた。前年9月末時点の164万トン、過去5年平均の199万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、12日時点で24年9月積みがトンあたり138ドル台前半となった。前週末から3ドル前後の下落。ガスの下落に連動した。 原油相場は、13日午前時点でWTIの24年10月物がバレルあたり69ドル台前半、ブレントの24年11月物が72ドル台前半で推移した。前週末から、WTIおよびブレントのいずれも2.5ドル程度の下落となった。石油輸出国機構(OPEC)が10日に発表した月報で、24年の世界の石油需要の見通しを下方修正したほか、25年の需要予想も引き下げたことで、先行きの需給緩和観測が強まり、原油先物は売りが膨らんだ。ただ、その後は安値拾いの買いが入ったことや、ハリケーン「フランシーヌ」が米メキシコ湾岸に接近し、石油課関連施設への影響が懸念されるなど、原油先物は下げ幅を縮小した。
週を通じた実勢高値は、13日に北海道~北陸の6エリアで付けた39.00円となった。一方、実勢安値は12日に九州で付けた5.01円だった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比3.78円高の15.96円、東北が同2.83円高の16.34円、東京が同3.78円高の17.83円、中部が同4.53円高の18.02円、北陸、関西、中国、四国が同4.64円高安の17.11円、九州が同3.94円高の15.28円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比15.4%減の10億5,415万4,490kWh、買い札が同13.9%増の11億1,977万2,060kWhとなった。約定量の週間平均は、同3.9%増の7億8,898万6,840kWhだった。
9月9~13日の9エリアの電力需要は、144億3,690万2,000kWhとなり、前週9月2~6日の132億5,955万8,000kWhから8.9%増加した。なお、曜日を合わせた前年の9月11~15日の需要実績は133億5,814万2,000kWhで、増加率は8.1%となった。
9月9~13日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
9月9~13日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
9月第3週の電力スポットは、第2週に比べて下押す動きとなりそう。最高気温は、西日本で週半ばごろまで猛暑の地域が散見されるものの、週後半に向けて暑さは緩む見通し。東日本では、週を通じて猛暑には至らない予報となっている。東西ともに第2週の厳しい暑さは解消し、価格も軟化するとみられる。ただ、定期点検などで停止する火力発電は増え、予備力は低下するため、新たな設備トラブルなどが発生した場合、思わぬ高値を付ける可能性はある。
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