農水省=脱炭素技術の海外展開、農林水産分野の政策方針を公表
農林水産省は15日、農林水産分野の脱炭素技術の海外展開を後押しするため、政策パッケージの基本方針を公表した。海外展開が可能で食料安全保障に資する温室効果ガス(GHG)排出削減技術を選定し、海外展開を促進する施策と民間事業者が国内外で活用可能な支援策をまとめた。水田から発生するメタンを削減する技術などを活用するほか、日本と途上国が協力しGHGを削減し成果を分け合う「二国間クレジット制度(JCM)」の推進などを図る。 15日の発表によると、農水省は今後、基本方針を踏まえて民間事業者との意見交換などを行い、5月ごろをめどに政策パッケージを具体化する。ブラジルで今年11月に開催される国連気候変動会議(COP30)などで政策パッケージを国内外に発信し、農業・食品分野での脱炭素投資の日本への呼び込みや、気候変動に関連する事業に取り組む農業・食品企業の市場拡大を目指す。 基本方針では、海外に展開可能なGHG排出削減技術として、水田メタンの排出削減、農地土壌の炭素貯留、施肥抑制による一酸化二窒素(N2O)削減、畜産のメタン・N2O削減を選定。開発途上国の森林減少・劣化に由来するGHG排出の削減と、森林保全・森林経営を組み合わせた取組である「REED+」も推進する。二国間クレジット制度は、技術の海外展開を促進する手段のひとつとして活用する。水田由来のメタンを削減する技術を通じて、プロジェクトを推進し、農業分野の炭素クレジット創出につなげる考え。水田メタンの削減以外にも炭素クレジット創出の方法論を増やす計画。 民間事業者向けには、公的な支援策の活用を促す。「みどりの食料システム戦略実現技術開発・社会実装促進事業」や「オープンイノベーション研究・実用化推進事業」などといった農水省所管の事業に加えて、経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費」など他省庁や政府系機関の枠組みも通じて、農林水産分野の取組を拡大する。
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