キリンビール、三菱商事、三菱商系のMCKBエネルギーサービス、高砂熱学工業、三浦工業は、再生可能エネルギーなどを使い製造工程で温室効果ガス(GHG)を排出せずにつくられた｢グリーン水素｣をビール工場に導入する実証を行う。キリンビールの北海道千歳工場で使用する蒸気ボイラー用燃料の一部を化石燃料由来からグリーン水素由来へ転換し、ビール製造工程にグリーン水素由来蒸気を活用する実証事業を2026年6月から開始する。ビール製造では麦汁煮沸などの加温工程で大量の蒸気を使用するという。実証では、蒸気を製造するボイラー用燃料の一部を都市ガスからグリーン水素に切り替え、年間で最大約23％の熱需要を水素に代替し、GHG排出量を1年間あたり約464トン削減する見込み。

実証設備の建設は2025年4月に着工し、2026年6月から稼働する計画。実証期間は10年を予定し、グリーン水素への転換によるGHG削減効果や技術的な課題を検証する。実証でキリンビールは各社と連携し、ビール工場でグリーン水素由来の蒸気を利用する。三菱商の担当分野は、水素供給事業の事務面などの取りまとめ。高砂熱は水素製造装置の設置、太陽光発電・水素供給設備の設計・施工、設備の保守業務などを担う。水素製造設備の運転・維持管理や、水素製造・供給は、三菱商と高砂熱の出資によるMTグリーンエネルギーが実施する。MCKBは、三浦工業製の水素燃料ボイラーで水素由来蒸気の製造と供給を行う。三浦工業の役割は、水素燃料ボイラーの設計と製造、保守点検。

(実証事業のイメージ)

図の出所:　キリンビール、三菱商事、MCKBエネルギーサービス、高砂熱学工業、三浦工業　発表資料(7日)

注）SPC: 特別目的会社(特定の事業のために設立された法人)、　系統電力: 電力小売事業者から送配電網を通じて購入・調達する電力