経産省=次期エネルギー計画原案、電源構成・再エネ4~5割程度
経済産業省は17日に開催した調査会で次期エネルギー基本計画の原案を示した。2040年度の発電量に占める電源別の割合は再生可能エネルギーが4~5割程度と、現行計画(2030年度目標)の36~38%から引き上げる考え。一方、火力が3~4割程度(現行41%)、原子力については2割程度(20~22%)とした。再エネの主力電源化を徹底し、最大限の導入を図る。地域との共生や国民負担の抑制などといった課題に対して、事業規律の強化やFIP制度(電気を市場価格で買い取りつつ補助金を交付する制度)などの措置を講じる。 火力は安定供給に必要な発電容量を維持する一方、非効率な石炭火力を中心に発電量を減らしていく。脱炭素への移行手段としてLNG(液化天然ガス)火力を確保し、水素・アンモニア、CCUS(炭素の回収・利用・貯留)技術などを活用して火力の脱炭素化を進める。原子力は、国民からの信頼性確保に努め、安全性確保を大前提として必要な規模を持続的に活用する。 経産省は水素など(アンモニア、合成メタン、合成燃料を含む)をカーボンニュートラル実現の鍵となるエネルギーとした。こうした次世代エネルギーの供給体制については「技術開発により競争力を磨くとともに、世界市場の拡大を見据えて先行的な企業の設備投資を促していく」とし、バイオ燃料の導入も推進する方針。次世代エネの社会実装を進めるため、既存の原料・燃料との比較を含む「価格差に着目した支援」などにより供給網構築を支援する。 原案とは別に示された電源ごとの検証によると、2040年時点の発電コストは1kWhあたりで、石炭火力のアンモニア混焼(20%・熱量ベース)が27.3円、アンモニア専焼が23.1円、LNG火力の水素混焼(10%)が20.3円、水素専焼が29.9円、LNG専焼が19.2円、太陽光(事業用)が8.5円などとされている。原子力は12.5円以上。 検証では、「統合コスト」も試算した。太陽光や風力など自然条件により発電量が短時間で変動する電源が増加すると、電力システム全体を安定させるためのコストも増える。他電源や蓄電池で発電を調整するコストなどを勘案した統合コストは、石炭のアンモニア混焼が29.6~30.0円、LNGの水素混焼が20.9~23.0円、LNG専焼が20.2~22.2円、太陽光(事業用)が15.3~36.9円。原子力が16.4円以上だった。
(2040年度におけるエネルギー需給の見通し) 注) 数値は全て暫定値であり、今後変動し得る 表の出所: 経済産業省 発表資料
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