記者の眼記者の眼

第289回 (2025年3月26日)

 ここ最近「氷河期世代」をキーワードとした政治や経済、雇用、文化、生活、スポーツなど、多岐に渡る番組や動画、特集記事を見聞きする。「氷河期世代」は損な世代との論調も少なくない。
 
 「氷河期世代」とは、2000年前後に就職活動をした世代と言われている。就職活動の時期だけ見れば雇用機会の減少で大変だったかもしれない。だが、もう少し深堀すると、文化的にはとても恵まれた世代でもある。というのも、テレビや音楽、ゲーム、漫画、雑誌などのサブカルチャーが一番輝いていた90年代を小中高生として過ごした。テレビドラマと音楽が融合し、バラエティ番組も多かった。今ほど規制がなかったテレビ番組は実に面白く、今でも人気の漫画をリアルタイムで見ていた。

 
 一方で携帯やスマホは一般化しておらず、運動部では「水を飲むな」、「連帯責任だ」が通じた世代でもある。社会の理不尽さを嫌というほど学んでいる。 

 
 中高大時代の19951月に「阪神・淡路大震災」、新社会人前後の20019月に「同時多発テロ」、30歳を超えたころの20113月に「東日本大震災」を経験。多感期と新社会人、社会に慣れた30代に起こった出来事は人生観を大きく揺さぶった。
 
 石油燃料、ガス、原子力、そして次世代燃料、エネルギーは大きなゲームチェンジの時期に差し掛かっている。世の楽しさと理不尽さ、そして抗えない無常観を知る「氷河期世代」は、その間で斜に構えながらも社会を見る目は極めて冷静だ。

  

(阿部)

 

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