新春特集=2025年のLPG市場、中東・米の輸出増見込みも中印の需要堅調
2025年は中東地域および米国からのLPGの輸出増加が予想されている。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は2024年12月に開催した閣僚級会議で、サウジアラビアを含む8カ国が実施する自主減産の縮小開始を2025年1月から3カ月先送りすると決めた。減産緩和によりLPGの生産も増加すると予想され、中東産ガス社による輸出が拡大するとみられる。 米国においても、サプライヤーが輸出基地の拡張を計画しており、LPG輸出が伸びそうだ。パナマ運河の通峡は、25年も順調に進むとみられている。運河の水位は回復傾向にあり、例年よりも高い水準にあると一部の市場関係者は指摘する。通峡権のオークションは23年に落札価格が一時400万ドル前後まで高騰したが、今冬は10万ドル台~20万ドルでの落札が多くなっており、混雑も発生していない。
一方、相場の強材料も見られる。インドでは人口増による需要増が見込まれており、中国では新たに複数のプロパン脱水素(PDH)プラントが立ち上がる見通し。両国のLPG輸入量は25年も前年比で増えると見込まれる。米国の次期大統領のトランプ氏の動向も注目だ。同氏は、次期エネルギー長官に石油や天然ガスの採掘会社の経営者を任命した。トランプ政権下では、原油増産が見込まれるため、LPG生産も増加すると予想されているものの、同氏の前政権下では中国との貿易摩擦が深刻化したため、米中間のカーゴの流れが変わる可能性もある。 国内市場では、トラックドライバーに対する時間外労働の規制強化、いわゆる2024年問題を経て、需要期に必要量を運搬できるだけの輸送能力が確保できるかが未だに懸念されている。また、LPGの販売価格には運賃の上昇分の転嫁が十分進んでおらず、25年の契約交渉においても争点となりそうだ。海上玉の輸送においては人員不足がさらに深刻で、足元では需要期のタンクの在庫枯れを懸念する声もある。国内市場は、物流コストの上昇で地域間の価格差が広がるとの指摘も聞かれた。
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