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  • 第268回 ~自然とエネルギー、どっちが大事?地熱発電の難しさ~の巻
    (02/19 12:00)

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    第268回 ~自然とエネルギー、どっちが大事?地熱発電の難しさ ~の巻(2025年2月19日)

    うさりん、お久しぶり~!! 箱根に温泉旅行に行ってきたの。寒い季節には温泉って最高ね。はい、お土産の黒たまごよ。傷まないうちに、早めに食べてね。

    うわあ、ありがとう!!黒たまご、大好きなんだ!! 普通のお湯で作るのとは違う、この風味とうま味がたまらないんだよねぇ。これだけのために、箱根に引っ越したいくらいだよ。

    大涌谷を観光してきたけど、実に素晴らしくて壮大な眺めだったわ。まさに大地の鼓動って感じ。あれだけのエネルギーを利用しないのはもったいない気がするわね。

    確かに日本は世界で有数の火山大国だものね。火山なら地熱発電所で発電ができるねえ。

    でも思ったより、日本では地熱発電所って、あまりたくさんないような気がするわ。

    それは気のせいじゃないよ。稼働している地熱発電所の発電設備容量の世界ランキングでは、第1位がアメリカの370万kW、第2位はインドネシアの210万kW、第3位はフィリピンの190万kWで、実は日本は第10位の60万kWと、かなり低いレベルなんだ。

    折角、日本は地熱に恵まれているのに、なぜそんな状況なのかしら?

    それは大きな原因が2つ考えられるね。1つ目は地熱発電所の設備を建てるのに莫大な投資が必要ということ。まず建設する前に、その候補の土地が地熱発電に向いているかどうかを入念に調査しなくちゃいけない。それから1,000~3,000メートルも地下を掘る作業も必要なんだ。そして2つ目は、法律の縛りかな。日本の火山はほとんどが国立公園や観光地の中に存在しているんだ。そのために環境保全の法律がハードルになっているんだ。地熱発電所建設は、美しい景観を壊す可能性があると思われていて、住民から了解を得るのも難しいんだ。

    自然をコントロールするって、そんな簡単なものでもないものね。水力発電所のためにダムや干潟を作る時にも、環境保全との両立が深刻な問題になっているから、地熱も同じなのね。

    とはいえ、地熱発電には大きなメリットがあるんだ。海外からの輸入に頼らずに、自分たちで作り出せるエネルギーであるということ。それから、太陽や風力と違って、天候に左右されずに、比較的、安定供給できるシステムであること。だから国としては、現在も地熱発電について取り組みは進めているよ。

    そうね。日本の主力である火力発電所で燃料としている液化天然ガス(LNG)や石炭は、ほとんどが輸入に頼らざる得ない状況だもの。やっぱり自国で作り出す努力は大切よね

    現在、地熱から発電する方法は、直接地面から湧き出す媒体を利用して発電させる【フラッシュ発電】と、間接的に水よりも沸点の低いアンモニア水やペンタン、代替フロン等の二次媒体を介在させて発電させる【バイナリー発電】という2つがあるよ。ここでいう媒体とは、熱エネルギーを伝達する物質、つまり地下水とかアンモニアといったものを指しているよ。どちらの方式も最終的には地熱から蒸気を作り出して、タービンを回して発電する仕組みてせあることは共通しているんだ。蒸気を利用するということから、費用対効果から見ると、発電効率はそれほど良くはないのが、残念なポイントなんだよね。

    そういえば、私の行ってきた箱根では、箱根湯の花プリンスホテルというところで、その【バイナリー発電】の設備を利用していたわ。

    【バイナリー発電】は、二次媒体の沸点が低いから、低い温度で発電することができ、コストも安くすむところから、温泉が湧くところで、よく利用されているよ。 【バイナリー発電】は、【フラッシュ発電】より、小規模な開発も可能なことから、新しく注目されている発電方法なんだ。

    できるところから、コツコツということね!!今度、温泉旅行に行く時は、その観光地での地熱利用取り組みも観察してみようっと。良かったら、次回はうさりんも一緒にどう?

    もちろん、ぜひ、喜んで!!いつでもOKだよ!!

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    (文:寺島 )
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