第246回 ~LNGの不都合な新説~の巻(2024年4月17日)
かめりん、米国が地球温暖化対策でLNGプロジェクトの輸出認可を凍結したって聞いたのだけど?
そうなのよ、うさりん。今年1月末の突然の発表に、LNG業界は面食らったのよ。凍結の理由として、米バイデン政権は「認可に際しLNGの温室効果ガス影響の最新の評価を盛り込む必要がある」としているのよ。
でもなんでいまさら、LNGを対象に凍結するのさ?LNGってクリーンなエネルギーというイメージあるじゃない。
実はそこが核心なのよ。クリーンなはずのLNGが実は石炭よりも温室効果ガスの排出量が多いのではないか、という研究が最近出てきているのよ。
本当かい?
LNGって石炭よりも二酸化炭素(CO2)の排出量が4割程度少ないって言われているじゃない。でも、LNGって天然ガスを液化したもので、その天然ガスの主成分はメタンよ。メタンってCO2よりも強力な温室効果を持つことで知られるわ。LNGもメタンとCO2の排出を合わせると、実は石炭よりも温室効果が大きいかもしれない、というのが最近の研究なの。
どういう研究なの?
米コーネル大学のロバート・ハワース教授が2023年の論文で、LNGは石炭と比べて27%から2倍程度、メタンとCO2を合計した温室効果ガスの排出量が大きいと試算しているの。LNGの液化処理や海外への長距離輸送、特に旧式のLNG船を使って長距離輸送した場合にメタンガスを多く排出するのが要因としているわ。
へー、驚いたけど困ったものだね。だって、石炭もダメ、石油もダメで、LNGもダメってことになったら、どうやって当面のエネルギーを賄うの?
ええ、LNGの需要は石炭からの燃料転換のなかで、今後新興国を中心にまだまだ伸びる方向だし、ハワース教授の試算だって、今後様々な方面で検証されていくはずよ。ただし、2050年に温暖化ガスの排出ゼロに向けて、LNGへの風当りがきつくなるのは予想されるわ。LNG市場はこうした大きなうねりのなかで、日々動いていくのじゃないのかしら。
LNG市場ってある意味、環境規制の最先端を反映しているというわけだね。LNG市場の動向を知りたいなあ。どうすればわかるのかい。
それは、リムのLNGリポートを読むことが一番よ。
そいつはいいアイデアだ!
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(文:山本 )
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LNGの主成分は
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