アジア石油製品=11月18~22日:1月前半日本着OSNは上昇、会計年度替わりで需要増見通し
ガソリン 中国で増値税還付率を縮小へ、一部が11月積みの輸出を強化 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は横ばい。中国では12月から増値税の還付率を既存の13%から9%へ縮小する。このなか、一部の石油会社が11月積みの輸出を増強している。中国海洋石油(CNOOC)は先週、11月下旬に恵州煉化(日量44万バレル)出し92RONガソリンMR船型を販売した。また、同社は12月前半に海南積みとしてノンオキシー品の92RONガソリン1万2,000トンを販売している。一方、日本では出光興産の北海道製油所(日量14万バレル)で17日、トラブルにより複数二次装置が稼働を停止しており、状況を精査しているところである。
ナフサ 需要増の観測、会計年度替わりで 1月前半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は上昇した。会計年度が替わる1月前半着の需要が多いとの見方が支援材料視された。一方、ナフサ輸入国の1つの韓国では12月末の決算に向けて、川下から在庫水準を引き下げることに伴い、12月後半着ナフサの需要も後退。一方で1月前半着は在庫を再度積み上げようとするとみられる。また、中国からの買いも一時、減少していたようだが、年度が替わるタイミングで再び増加すると見込まれる。 装置関連でベトナムのロンソン石油化学は10月中旬から、採算性の悪化を背景にナフサクラッカーの稼働を停止している。市場関係者によると、採算性の向上がみられない場合、25年の4~6月期まで稼働停止を継続する可能性がある。一方で、同社は27年までに、設備の改造工事を実施し、原料としてナフサとLPGに加えてエタンを使用できるようにする計画を発表している。 1月前半日本着ヘビー・ナフサの市況連動相場は下落した。需要の弱さが続いた。基材として用いられるガソリンの不需要期に入ってきている。
中間留分 軽油は小幅安、域外品の流入で需要奪い合う 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は上昇。韓国石油会社の多くは冬季のターム供給優先や国内灯油需要の浮上により、スポット市場での販売を抑えている。一方、アジアから米西海岸向けのアービトラージはわずかながら開いていることなどから買い気が続いており、需給は引き締まった。中国石油会社各社は11月積み品の販売に注力している。政府が12月1日から増値税の還付率を縮小するため、駆け込みの輸出を進めている状況。これにより、12月中国積みの売り気は限定され、相場の下支え要因となった。 韓国積み灯油(SR船型)の市況連動相場は下落。輸入の採算性悪化や国内の在庫水準の高さから日本からのスポット品の買い意欲が減退した。これを受けて、韓国積みの売値も切り下がっていた。また、出光興産による買い気は限られた。同社の北海道製油所(日量14万バレル)では17日に硫黄回収装置付近で火災が発生し複数の二次装置が停止。しかし、国内の在庫品やかねてより決めていた輸入品でカバーが進められたとの指摘がある。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟化した。インドや中東といった域外品の流入により、北東アジア積み品と需要を奪い合っている。これを受けて、北東アジアの相場は弱含んだ。既報のとおり、韓国のSKエナジーは20日締めで、12月18~20日、同25~27日、同29日~1月2日積みMR船型3カーゴの販売入札を実施した。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)は21日までに、2025年1~12月販売分のターム契約交渉を実施しており、価格は切り下がった。25年の軽油市況は24年と比べて軟化すると見る向きがある。各地で製油所の能力拡張や新規立ち上げがあったほか、バイオ燃料の利用も一部の国で促進される見通しのため。
重油 需給引き締まりでHSFO市況上昇 韓国積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場は上昇した。需給引き締まり感を受けた。韓国石油各社の高硫黄重油(HSFO)の生産量が限られる一方、バンカー用を中心に一定の需要が続いている。また、中東からシンガポールに持ち込まれるカーゴもこのところ数量が減少気味で、アジアでは総じてHSFO市況が上昇している。
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